学校でのいじめをなくすために作られた法律を分かりやすく解説します。
ゆとり文科省の定めるいじめ防止対策推進法って聞いたことはあるけど、どんな法律なの?




簡単に説明しているサイトを見てみよう!!
「いじめ防止対策推進法」は、いじめ問題の解決のため、国・自治体・学校・家庭・地域が連携し、いじめの防止・早期発見・対処を総合的に進めるための基本理念と体制を定めた法律です。
今回は、この法律について、教員や保護者、そして学生の皆さんにも分かりやすく解説していきます。
- いじめ防止対策推進法とは何か
- この法律で定められている「いじめ」の定義
- 学校・教員・保護者それぞれの責任
- いじめが起きたときの具体的な対応方法
いじめ防止対策推進法とは?



法律が作られた背景
いじめ防止対策推進法は、平成25年(2013年)9月28日に施行された法律です。
それまで日本では、いじめに関する統一的な法律がなく、各学校や地域によって対応がバラバラでした。しかし、いじめによる深刻な事件が相次いだことから、国全体で取り組む必要性が強く認識されるようになりました。
この法律の目的は、いじめの防止、早期発見、適切な対処を通じて、子どもたちの尊厳を守り、安心して教育を受けられる環境を作ることです。
「いじめ」の定義とは
この法律では、「いじめ」を次のように定義しています。
児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの
簡単に言うと、以下のような特徴があります。
- 学校に在籍する子ども同士の関係の中で起こる
- 心理的または物理的な影響を与える行為
- インターネットを通じて行われるものも含む
- 被害を受けた子どもが心身の苦痛を感じている
つまり、受けた側が「苦痛」を感じていれば、それはいじめとして認定されるということです。
加害者側の意図は関係ありません。
それぞれの立場における責任



①国・地方公共団体の責務
国と地方公共団体には、いじめ防止のための施策を策定し、実施する責任があります。
具体的には・・・
- いじめ防止基本方針の策定
- 財政的な支援
- 教員の研修や専門家の配置
- 相談体制の整備
②学校・教職員の責務
学校と教職員には、最も重要な役割が課せられています。
学校いじめ防止基本方針の策定
各学校は、その学校の実情に応じた「学校いじめ防止基本方針」を定める必要があります。
いじめ防止のための組織設置
複数の教職員や心理・福祉の専門家などで構成される、いじめ防止対策のための組織を置く必要があります。
早期発見と適切な対処
いじめを受けていると思われる児童生徒がいる場合、速やかに事実確認を行い、適切に対処する責務があります。
③保護者の責務
保護者にも重要な役割があります。
- 子どもがいじめを行わないよう、規範意識を養う教育を行う
- 子どもがいじめを受けた場合、適切に保護する
- 学校が講じるいじめ防止の措置に協力する
いじめの具体的な対応方法



いじめの早期発見のための取り組み
学校には、いじめを早期に発見するため、以下のような措置が求められています。
- 定期的なアンケート調査の実施
- 相談体制の整備(スクールカウンセラー等)
- 保護者や地域との連携
- いじめ通報・相談窓口の設置
いじめが発覚したときの対応
いじめが発覚した場合、学校は以下のステップで対応します。
Step 1: 事実確認
速やかにいじめの事実の有無を確認し、学校の設置者(教育委員会等)に報告します。
Step 2: いじめの停止と再発防止
複数の教職員で協力し、専門家の助けも借りながら・・・
- 被害児童生徒とその保護者への支援
- 加害児童生徒への指導とその保護者への助言
Step 3: 必要な措置
状況に応じて、以下のような措置を講じます!
- 加害児童生徒を別の教室で学習させる等の措置
- 犯罪行為の場合は警察との連携
- 重大な被害の恐れがある場合は直ちに警察に通報
重大事態への対処



以下のような「重大事態」が発生した場合、学校や設置者は特別な調査を行います。
- 生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑いがある場合
- 相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある場合
調査結果は、被害児童生徒と保護者に適切に提供され、再発防止のための措置が講じられます。
インターネットいじめへの対応



現代では、SNSやインターネットを通じたいじめが増加しています。
この法律では、インターネットを通じて行われるいじめについても明確に規定しており、以下のような対策を求めています。
- 児童生徒と保護者への啓発活動
- インターネット上の情報の特性(匿名性、拡散性など)についての教育
- 被害児童生徒や保護者が情報削除や発信者情報開示を求める際の法務局の協力
- 監視体制の整備支援
教員として知っておくべきポイント



日常的な予防活動
- 全ての教育活動を通じた道徳教育の充実
- 児童生徒の自主的ないじめ防止活動への支援
- 定期的な研修の実施
- 保護者や地域との連携強化
一人で抱え込まない
いじめ対応は、決して一人で抱え込んではいけません。
- 学校のいじめ防止対策組織に速やかに報告
- 同僚や管理職と情報共有
- 必要に応じて専門家(スクールカウンセラー等)と連携
- 重大な場合は警察や児童相談所との連携も検討
まとめ



いじめ防止対策推進法は、子どもたちを守るために作られた大切な法律です。
この法律によって
- いじめの定義が明確化された
- 国、学校、保護者それぞれの責任が明確になった
- 組織的な対応体制が整備された
- 早期発見・早期対応の仕組みができた
教員として働く方は、この法律の内容をしっかり理解し、日々の教育活動に活かすことが求められています。
また、保護者の方も、学校と協力してお子さんを守るために、この法律について知っておくことが大切です。
一人ひとりができることから始めて、子どもたちが安心して学べる環境を作っていきましょう。









