あなたの学級経営はどう!?うまい先生が実践している大切なこと

ゆとり

最近は様々な背景を持つ子どもが増えたから学級が落ち着かない〜

はかせ

学級経営が上手な先生にはある共通点があるんだって!!

「子どもたちが落ち着かない」「指示が通らない」「クラスの雰囲気が重い」「保護者対応に苦労している」

多くの教員が直面するこうした悩み。一方で、いつも落ち着いた学級を作り、子どもたちが生き生きと過ごし、保護者からも信頼される先生もいます。

その違いはどこにあるのでしょうか?

実は、学級経営がうまい先生は特別なことをしているわけではありません。文部科学省が示す学級経営の要素を踏まえながら、日々の小さな実践を積み重ねているのです。

この記事では、学級経営がうまい先生が実践している「大切なこと」を厳選してご紹介します。

この記事を読むと分かること
  • 文科省が示す学級経営の基本要素
  • 学級経営がうまい先生の共通点
  • 明日から実践できる具体的な方法
  • 学級経営でつまずきやすいポイントと対策
目次

学級経営とは何か?

文部科学省が示す学級経営の内容

文部科学省の教員研修資料(学級経営・学校経営に関する内容)によると、学級経営には以下の要素が含まれます。

学級経営の主な内容
  • 学級目標の設定
  • 好ましい人間関係や集団づくり
  • 生徒指導
  • 教室環境の整備
  • 保護者との連携
  • 各種学級事務

つまり、学級経営とは単に「教室を管理すること」ではなく、子どもたちが安心して学び、成長できる環境を総合的に作り上げることなのです。

うまくいっている学級の3つの特徴

学級経営がうまくいっている状態には、共通する特徴があります。

①子どもたちが安心して過ごせている
一人一人に居場所があり、失敗を恐れずにチャレンジできる環境があります。

②担任と子どもの信頼関係が築けている
先生の話に耳を傾け、困ったときに相談できる関係性があります。

③子ども同士が互いを認め合っている
友達の良いところを見つけ、助け合う文化が育っています。

学級経営がうまい先生の根底にあるもの

うまい先生に共通しているのは、「価値観を子どもと共有している」ことです。

担任と子どもたちが同じことを大切だと考える学級は安定します。価値を押しつけるのではなく、担任の思いとして伝え、同じ教室で過ごす一員として子どもと一緒に目標を考えています。

学級経営がうまい先生が大切にしていること

それでは、具体的に学級経営がうまい先生の実践例を見ていきましょう。

【学級目標と価値観の共有】子どもと一緒に学級を作る

なぜ重要なのか

文部科学省も学級経営の第一要素として「学級目標の設定」を挙げています。しかし、ただ目標を掲げるだけでは意味がありません。

具体的な実践方法

4月の最初の1週間でやること
  • 「このクラスで大切にしたいこと」を子どもと一緒に考える
  • 担任としての信念(譲れない価値観)は明確に伝える
  • 価値を押しつけるのではなく、担任の思いとして語る
年間を通してやること
  • 日々の学校生活の中で繰り返し学級目標に立ち返る
  • 担任の目から見たクラスの様子を伝える
  • 子どもの活動を子どもたちにフィードバックする

ポイント
教師として譲れない信念は徹底しましょう。一貫性を持って3月まで貫くことが、言葉の力を弱めないコツです。

【好ましい人間関係づくり】一人一人に居場所を作る

公平性と個別の受け止めの両立

子どもは不公平やえこひいきを嫌います。同時に、自分個人を受け止めてほしいとも願っています。この両立が学級経営の基本です。

具体的な実践方法

日常的な取り組み
  • 朝、子どもたち一人ひとりの表情を確認する
  • 休み時間に様々なタイプの子と意識的に関わる
  • 一人一役の係活動で全員に役割を持たせる(係活動で登校できるようになった子もいる)
小集団活動の工夫
  • 生活集団学習集団を使い分ける
  • グループ活動を効果的に取り入れる
  • 当番活動・係活動の組織作りを工夫する

ポイント
困っている子どもに寄り添う担任の姿を、子どもたちは見て習っています。担任が大人のモデルになりましょう。

ゆとり

係活動や当番活動では一人一人の力が発揮できるようにすることが大切なんだね!

はかせ

電車係やクイズ係など自分の興味のあることに夢中になれる時間を作り、それを学級活動の時間に活かせるようにしたよ!

【観察力と児童生徒理解】子どもの小さな変化を見逃さない

学級経営がうまい先生は「見取り」が抜群

文部科学省も「児童生徒理解の内容と方法」を重要視しています。子どものちょっとした変化を敏感に感じ取ることが、問題の早期発見・早期対応につながります。

具体的な実践方法

日々の観察
  • 表情の違い、声のトーン、服装、友達関係などから子どもの状態を見抜く
  • 下を向いている子、友達とおしゃべりをしている子、手遊びをしている子を見逃さない
情報収集のネットワーク
  • 養護教諭、専科教師、他学年の先生からも情報を集める
  • スクールカウンセラーとも連携する
  • 家庭や地域、関係機関との連携も活用する

ポイント
担任一人ですべてを把握するのは困難です。目と耳をできる限り子どもに向け、チーム全体で情報を整理しましょう。

ゆとり

連携するためには日々の人間関係の構築が大切だね

【言葉の力】端的でわかりやすく話す

丁寧に細々とではなく、わかりやすく話すことが必須スキル

話の長い先生は嫌われます。子どもの心が離れてしまうのです。

具体的な実践方法

わかりやすい話し方の3原則
  1. 一文を長くしない
  2. 難しい言葉を使わない
  3. 具体例やイメージできる例を示す
実践例
  • 黒板にポイントを3つ書くだけで十分に伝わることも
  • 「わからない人は聞きにおいで!」と伝えれば済む場合がほとんど
言葉の力を弱めない工夫
  • 宣言したことにこだわり、3月まで言ったことを貫く
  • 間違いがあれば素直に認めて訂正や謝罪をする

ポイント
児童生徒の意欲を引き出す発問、指名、話し方を常に工夫しましょう。

ゆとり

話が長いと何を伝えたいのかわからないよね・・・

はかせ

問いかけたり、視覚支援をしたりすることが大切なんだね!!

【話を聞く姿勢づくり】授業の土台を作る

学級経営の最も基本となる重要事項

子どもが話を聞く姿勢を作れていないとき、教師は授業を始めてはいけません。

具体的な実践方法

【手順1】不必要に騒がしい環境を作らない
「おしゃべりしていても授業は進むんだ」と学習させてはいけません。授業が始まらない理由を伝えましょう。
「誰かが前に立ち発表を始めたら聞きましょう。」などの静かにするタイミングを明確にする。

【手順2】話を聞くことはお得だと理解させる
話を聞けば、一日の見通しが持てる、次の行動の準備ができるなど、お得だなと思わせることが大切です!

【手順3】良いことはその瞬間必ずフードバックする
正しく聞けたときは、学級の子どもをいっぱい褒めます。人の話を集中して聞くことができる限界は数分です。子どもたちが一生懸命に聞こうとする姿は素晴らしいことです。

ポイント
授業における児童生徒指導(反応のとらえ方、机間指導を通しての理解等)を日々実践しましょう。

【ルール設定と日常の指導】ちょうど良いバランスを見極める

厳しすぎず、緩すぎない絶妙なライン

ルールが厳しすぎると、子どもたちは息苦しくなり、ルールをばれないように破り始めます。

具体的な実践方法

ルール設定の原則
  • 先生が理由を語れないルールは見直す
  • やってはいけない範囲とやってもよい範囲を明確に示す
    「暴力、暴言、命に関わる行為は許しません。」など
日常の指導場面
  • 清掃、給食、休み時間、朝や帰りなどの指導
  • けんかや対立など人間関係改善への指導
  • 特別に配慮を要する児童生徒と信頼関係構築に努める。

【叱る・ほめる・頼む】子どもの心に届ける

「叱る」と「怒る」は違う

叱るとは助言すること、怒るとは感情をぶつけることです。良くない行為を叱って、人格は否定しません。

具体的な実践方法

叱るとき
  • その子どもやその場面に合った叱り方を工夫する
  • ここぞという時は1対1で本気の勝負をする
    (押さえ込もうとするのではなく、正面からきちんと向き合う)
  • 全体指導では、指導に一貫性を持つ
    叱るべきことを見逃すと、周囲が不満を持つ
ほめるとき
  • その子どもやその場面に合ったほめ方を
    (高学年になれば、本人にだけこっそり伝える方が良い場合も)
  • 具体的に何が良かったかを伝える
頼むとき
  • 何気ないことでも、大事なことでも、子どもを信じて任せる
  • 子どもに頼むことで信頼を伝えられる

ポイント
時には先生の本音を出すことも大切です。辛い時は辛い、悲しい時は悲しいと自己開示することが、関係を豊かに育てます。
全体指導で「叱る・褒める・頼る」際は、子どもたちの人間関係に配慮することが大切です。高学年ほど気をつけましょう。

【教室環境の整備】心理的な効果を活用する

いつも教室を整えておくと、学級の異変に早く気づける

文部科学省も学級経営の重要要素として「教室環境の整備」を挙げています。

具体的な実践方法

環境が与える心理的影響
  • きれいな環境は学級を大切に思う
  • 乱雑な環境は「何をしてもかまわない」意識になる
居心地の良い学級の工夫
  • 子どもの表現(作品、意見など)を掲示する
    毎月掲示物を変更できると尚良い
  • 先生のメッセージを掲示する
  • 視覚支援の掲示物を工夫する
    だたし、発達障害の児童は気が散るので黒板の周りには掲示しない方が良い

ポイント
教室環境は、学級の雰囲気を作る重要な要素です。子どもたちと一緒に整える習慣をつけましょう。

【保護者との連携】信頼関係を築くコミュニケーション

保護者と連携を図った学級経営

文部科学省も「保護者との連携」を学級経営の重要要素としています。保護者の理解と協力があると、学級経営はさらにスムーズになります。

具体的な実践方法

定期的な情報発信
  • 学級通信で学級の様子や子どもの成長を伝える
  • 授業参観や保護者会のねらいと工夫を明確にする
個別対応
  • 家庭訪問、個人面談、個別の相談などの体系を整える
  • 保護者への助言は、子どもの良い面を先に伝えてから課題を話す
  • 日頃から些細なことでも連絡を取り合う関係を作る

保護者からの感謝 日々の指導や支援に対して保護者から感謝の言葉をもらえると、本当に嬉しいものです。「先生のおかげで、子どもも楽しそうです」と言ってもらえると、やりがいを感じます。

ポイント
保護者は学級経営の協力者です。信頼関係を築くことで、家庭と学校が一体となって子どもを支援できます。

ゆとり

保護者の方に会った際は積極的に話しかけ、子どもの頑張っていることなどを日頃から話し信頼関係を築くといいよ!!

学級経営がうまくいかない先生の特徴

うまくいかない先生には、いくつかの共通する傾向があります。自分に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。

とにかく話が長い

子どもに丁寧に説明しようと思うあまり、話が長くなってしまいます。これは結構致命的です。

話の長い人は嫌われ、話を聞く気にならず、子どもの心が離れてしまいます。聞いていないのに「話を聞きなさい!!」なんて注意してしまうのだから、とてもタチが悪いです。

ルールが厳しすぎる

初任者が陥りやすい罠です。子どもたちが問題を起こさないように、できるだけ細かいルールを設定します。

鉛筆は5本、消しゴムは白、赤ペンはだめで赤鉛筆だけ、筆箱は布製、下敷きは無地のもの…など、文具だけでもこれだけのルールを設定します。

当然、子どもたちは息苦しくなり、ルールをばれないように破り始めます。そうなるとルールが無効化し、ルールが守られないので口酸っぱく注意する悪循環に陥ります。

子どもたちと話さない

たくさんの宿題を出し、丸付けに追われます。丸付けに必死になるので、子どもたちと話したり遊んだりする余裕がなくなります。

子どもたちのことを見取ることができなくなり、話さないことは学級崩壊の始まりとも言えます。宿題の丸付けも大切かもしれませんが、子どもと話すほうが10倍大切です。

ゆとり

週に1回は子どもと遊ぶとより信頼関係が築けるよ!!

一貫性がない

言うことがコロコロ変わると、子どもは混乱し、先生を信頼できなくなります。

「宣言したことにこだわり、3月まで言ったことを貫く」ことが言葉の力を強めます。

完璧主義すぎる

すべてを完璧にしようとすると、自分も子どもも苦しくなります。

適度に力を抜き、重要なことに集中することが大切です。

一人で抱え込む

学級担任が一人で問題を抱え込むと、精神的な疲労が蓄積します。精神的な疲労は自覚しにくいため、気づいたときには深刻な状態になっていることもあります。

ゆとり

同僚の先生とは相談できる関係性を作っていきたいね!

時間や約束を守らない

授業終了時刻を過ぎ、休み時間を短くするなど、時間を守らないと子どもたちから信頼してもらえなくなります。
また、「お楽しみ会の時間とるね」と約束しておき「テストがまだ残っているからできなくなりました。」などの約束したことを守らないなど、当然子どもたちもいうことを聞いてくれません。

明日から実践!学級経営改善チェックリスト

すべてを一度に実践するのは困難です。まずは以下の項目から始めてみましょう。

【今日からできること】

□ 朝、子どもたち一人ひとりの表情を観察する
小さな変化に気づくことから始めます。「おはよう」の一言に心を込めて。

□ 休み時間に5分だけ子どもと話す
いつもと違うグループの子と関わってみましょう。外で遊ぶ子、教室で過ごす子、図書室にいる子、様々な子と意識的に話します。

□ 話を短くする練習をする
ポイントを3つに絞って伝えてみましょう。黒板に書くだけでも効果的です。

□ 子どもを一つほめる
その子に合ったほめ方で、具体的に何が良かったかを伝えます。

【1ヶ月で取り組めること】

□ リーダー指導を始める
リーダーと目標を共有し、見通しを持たせてから前に立たせます。活動後、毎回教師が評価し、意味づけをしてやることが大事です。

□ 係活動を充実させる
一人一役の役割で、全員に居場所を作ります。係活動で登校できるようになる子もいます。

□ チーム連携を強化する
一人で抱え込まず、養護教諭や他の先生、スクールカウンセラーと情報共有します。

□ 授業改善に取り組む
学校生活の大部分が授業時間です。わかりやすい授業、子ども同士を結ぶ授業をめざします。

学級経営で大切なのは「チームの力」

一人で抱え込まないことの重要性

文部科学省も「学校における生徒指導体制」「家庭・地域や関係機関との連携」の重要性を強調しています。

学級担任が一人で問題を抱え込まずに、周囲に情報を伝え合い、援助を要請することが大切です。チーム力で問題行動が落ち着いていった例は数多くあります。

具体的な連携方法

校内連携
  • 校内の生徒指導マニュアルを作成して、職員全員の意識を高める
  • 報告や対応を早め、関わり方を全員で共有する
  • 学年経営案、学年会、学年行事などで学年全体の連携を図る
  • 学級王国にならないよう、開かれた学級経営を心がける
外部連携
  • 専門家とアセスメントをして、見通しを持って対応する
  • スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用する
  • 保護者と協力して子どもを支援する
  • 地域や関係機関との連携も視野に入れる
メンタルヘルスケア
  • 精神的な疲労は自覚しにくいため、メンタルヘルスの専門家に相談する
  • 同僚や管理職に相談する勇気を持つ

ポイント
学校問題サポートチームなど、外部の支援機関も活用しましょう。一人で悩まず、チームで解決する姿勢が大切です。

学級経営に必要な「学び続ける姿勢」

学級経営に満足する先生はいない

学級経営がうまい先生と話しているうちに、一つの共通点があることに気づきます。

それは、どんなに素晴らしい学級を作っていても満足せず、より高みを目指しているということです。

継続的な学びの重要性

学級経営は、とはいえ最初からなかなかうまくいくことは少ないです。だからこそ、本を読んだり、ベテランの先生に質問してどんどん学んでほしいと思います。

文部科学省も教員の資質向上のために様々な研修内容を示しています。教材研究、授業計画、指導方法、評価など、学ぶべきことはたくさんあります。

学ぶことで得られたスキルは一生ものです。

自分らしいスタイルを見つける

学級経営に正解はありません。他の先生の実践を学びながらも、最終的には自分らしい学級経営のスタイルを見つけていくことが大切です。

学級経営がうまい先生の特徴まとめ

学級経営がうまい先生は、特別なことをしているわけではありません。

文部科学省が示す学級経営の基本要素を押さえながら、「日々の積み重ね」「子どもとの信頼関係」「心の余裕」など、日々の小さな実践を大切にしているのです。

学級経営で最も大切なこと

それは、「どうすれば子どもがより幸せになることができるか」を考え続けることです。

担任と子どもたちが同じことを大切だと考える学級は安定します。価値観を共有し、一緒に学級を作り上げていく姿勢が重要です。

学級経営は継続的な指導の積み重ね

学級経営は短期的な指導では効果は見えづらく、継続的に指導することによって成果が出ます。焦らず、一つずつ実践を積み重ねていきましょう。

最後に

学級経営に悩んでいるのはあなただけではありません。日々悩みながらも、子どもたちの成長に寄り添い続けることが、教員としての大きなやりがいにつながります。

この記事で紹介した要素を、まずは一つずつ実践してみてください。きっとクラスの雰囲気が少しずつ変わっていくはずです。

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