ゆとり各自治体が出してあるいじめ対応マニュアル読んだけど難しくて…




もっと簡単に読めるサイトはないのかな?
学校現場でいじめが発生したとき、教員はどのように対応すべきか。各都道府県が発行する「いじめ対応マニュアル」には具体的な手順が示されていますが、公式文書は専門用語が多く、実践的に理解しにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、複数の都道府県のいじめ対応マニュアルを分析し、共通する実践的な対応方法を分かりやすく解説します。
- いじめの定義と基本認識
- いじめ発見時の初動対応
(24時間以内の動き) - 被害者・加害者・観衆傍観者への対応
- 保護者対応と関係機関との連携
- いじめ解消の要件
まず押さえたい!いじめの定義と基本認識



いじめの定義(いじめ防止対策推進法第2条)
文部科学省が定めるいじめ防止対策推進法によると「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
ポイントは3つ!!
- 一定の人的関係がある
(同じ学校、クラス、部活など) - 心理的・物理的な影響を与える行為
(暴力、悪口、無視、ネットいじめなど) - 心身の苦痛を感じている
(被害者の気持ちが基準)
重要:いじめは、頻度やダメージの大きさに関わらず、「たった1度であっても、その1回が致命的になるかもしれない」と考え、いじめられている児童生徒の心情を重視して取り組むことが大切です。
「いじめられる側にも原因がある」という考え方は完全に間違いです。
教員が持つべき基本認識
各都道府県のマニュアルに共通する基本認識として、以下が挙げられます。
- いじめは、どの子どもにもどの学校でも起こり得る
- いじめは人権侵害であり、決して許されない
- いじめは大人には気づきにくいところで行われる
- いじめられる側に問題があるという見方は間違い
- いじめは刑罰法規に抵触する可能性がある(暴行、恐喝、強要等)
- 教職員の児童生徒観や指導の在り方が問われる
- 家庭教育の在り方に大きな関わりを持つ
- 学校、家庭、地域が一体となって対応すべき




全教職員が共通認識で指導に当たらないとね!!
いじめにみられる集団構造(4層構造)
いじめは、被害者と加害者だけの問題ではありません。
- いじめられる子ども(被害児童生徒)
- いじめる子ども(加害児童生徒)
- 見てはやし立てる子ども(観衆)
→ いじめを強化する存在 - 見て見ぬ振りをする子ども(傍観者)
→ いじめを支持する存在



重要ポイント
観衆・傍観者も加害者と変わらない




いじめを支持する存在、強化する存在になることを子どもに知ってもらわないとね!!
いじめの未然防止



道徳教育の充実
- 道徳科の授業を通じて、いじめを許さない心の基盤を育む
- 思いやり、公正、公平、社会正義、生命尊重等の道徳性を育成
- 各都道府県の道徳教科書や副読本を活用
学級・学習集団の育成
- 日々の授業や行事を通して、望ましい人間関係を築く
- 規範意識や社会性等を育む
- 人間としての在り方・生き方について正しく理解する
児童会・生徒会活動の活性化
- いじめ等の問題を見いだし、解決する力を身につける
- 自発的・自治的な活動を通して、よりよい学校生活づくりに参画する態度を育む
教職員の人権意識の向上
- 日々の教育活動の中で児童生徒に指導する際、配慮に欠けた言動がないかを見つめ直す
地域との連携
- いじめ防止の取組や校外生活等について、学校と地域が課題や目標を共有
- 当事者意識をもって積極的に子どもの教育に関わっていく




いじめを未然に防ぎ、いじめが起きないような指導を日々心がけないとですね!
早期発見のためのチェックポイント



いじめ問題を解決するためには、いじめの兆候にいち早く気付き、早期の対応を図ることが大切です。
学校でのサイン
登校時・朝の会等
- 欠席、遅刻、早退が目立つ
- 表情が暗く、どことなく元気がない
- 顔や体に傷や殴られたような跡がある
- どこかおどおどして、脅えているように感じられる
- 教師と視線を合わせようとしない
授業時間
- 頭痛、腹痛、吐き気等を訴え、保健室や職員室への出入りが頻繁になる
- 一人で遅れて教室に入ってくることが多い
- よい発言や行動をしたのに周りから賞賛や評価が得られない
- 特定の子が発表すると笑いや冷やかし、または無視がある
- 体育の授業等で、特定の子にボールが回らない、または回される
- 一人で活動することが多い
- グループ活動等で、机と机が離れている
昼食時
- 給食や弁当のおかずやデザートを他人に与えている
- 弁当の中身が食べられている(食べ散らかされている)
- グループで食べる時、特定の子の机だけ離されたり、ポツンと残されたりする
休み時間
- トイレ等に閉じこもりがちである
- 階段の上がり下がりを繰り返すなど、一人で時間をつぶしている
- 体育館の裏やトイレ、物陰等、目の届きにくい場所からよく出てくる
- プロレスごっこ等で、いつもやられ役になっている
- 特別な用事もないのに、職員室や保健室・図書室等にいることが多く、一人になりたがらない
その他
- 学級内で問題が生じると、特定のこどもの名前がすぐあがる
- 班編成で最後まで所属が決まらない
- 傷やけがの跡があるのか、腕や足、首等の肌を隠そうとする
- 周りの友達に異常なほど気をつかっているように見える
- 特定の子の席に誰も座ろうとしない
- 席の周りが空いている。机やイスの周りにゴミが散乱している
- 納入金等を急に滞納しはじめた
- 不快な呼び名で呼ばれている
家庭でのサイン



登校・学校関連
- 学校へ行きたがらない
- 「転校したい」「学校をやめたい」と言い出す
- 外に出たがらない
- 学校の様子を聴いても言いたがらない
- 親の学校への出入りを嫌う
心身の変化
- イライラしたり、おどおどしたりして落ち着きがなくなる
- 衣服の汚れが見られたり、よくケガをしたりしている
- お風呂に入りたがらなかったり、裸になったりするのを嫌がる
- 食欲がなくなったり、体重が減少したりする
- 寝付きが悪かったり、眠れなかったりする日が続く
- 愁いに満ち、表情が暗くなる
- 部屋に閉じこもることが多く、ため息をついたり、涙を流したりしている
物品・金銭
- 学用品や所持品を紛失したり、壊されたりしている
- 教科書やノートに嫌がらせの落書きをされたり、破られたりしている
- 家庭から物品やお金を持ち出したり、余分な金品を要求したりする
- 不審な電話や嫌がらせの手紙や紙切れなどがある
態度の変化
- 言葉遣いが荒くなり、親や兄弟、祖父母等に反抗したり八つ当たりをする
- 先生や友だちを批判する
- 親に隠し立てをすることが多くなる
- 電話に敏感になる
- 友達からの電話にていねいな口調で応答する
- テレビゲームなどに熱中し、現実から逃避しようとする
- 友だちのことを聴かれると怒りっぽくなる
- 「どうせ自分はだめだ」などの自己否定的な言動が見られ、死や現実を逃避することに関心を持つ
※各都道府県では、より詳細なチェックリストを提供していますので、お住まいの自治体のマニュアルをご参照ください。
いじめ発見時の初動対応(24時間以内の動き)



STEP1:情報のキャッチ
いじめの情報をキャッチする経路は様々です。
- いじめが疑われる言動を目撃
- 生活ノート等から気になる言葉を発見
- 「いじめアンケート」から発見
- 養護教諭等の同僚教員やスクールカウンセラーからの報告
- 保護者からの訴え・報告
- 当該児童生徒からの訴え
- 周囲の児童生徒からの訴え・報告
- 地域からの情報
重要:どんな些細なことでも必ず報告する。一人で判断せず、組織的に取り組む。
STEP2:管理職への報告
管理職に第一報を入れる。管理職が不在の場合は、いじめ対策委員会に所属する教員に速やかに報告する。
STEP3:いじめ対策委員会の開催(4月から常設)
構成メンバー
- 校長
- 教頭
- 生徒指導主事(主任)
- 学年主任
- 担任
- 当該学年教員
- 養護教諭
- 部活動顧問
- スクールカウンセラー
- スクールソーシャルワーカー等の教育支援員
児童生徒にも委員会の存在を周知することが重要です。
STEP4:対応方針の決定
- 児童生徒の安全を最優先として、緊急度を確認する
- 児童生徒の課題や背景を多角的に捉え、的確なアセスメント(見立て)を行う
- いつ・誰が・どのように対応するのかを決め、全教職員に周知し、迅速に行う
STEP5:事実関係の把握
事実確認のポイント
- 聞き取るべき内容等、留意すべきことを確認する
- 事実確認は、被害・加害・関係する児童生徒を個別に同時進行で行う
「事実確認」と「指導」を明確に区別する - 聞き取った情報(発生日時・場所・内容等)を一元化し、「いじめの背景」「こどもの心理」等を含むいじめの全体像を把握する
- いつ頃からいじめがあるのか?
- どこで?
- 誰が(命令)?
1対1?複数?グループ? - どんな方法で?
- どんなことから?きっかけは?
- どんな気持ちで?
一部の都道府県では、「いじめの状況をしっかりつかむシート」のような実践的なツールを提供しています。
このシートでは・・・
- 基本情報
(いつ、どこで、誰が) - 詳細な聞き取り表
(相手の言動、自分の言動、自分の気持ち) - 場面図
(誰がどこにいたか、どのような動きがあったか)
を記録することで、正確な事実確認とこどもの気持ちの理解に役立ちます。
STEP6:保護者との連携
担任を含む複数での家庭訪問を行い、保護者に事実を伝え、協力を要請します。
STEP7:教育委員会との連携
所管の教育委員会に報告し、指導を仰ぎます。
STEP8:関係機関との連携
必要に応じて、児童相談所、警察等の関係機関と連携します。




重大ないじめの事件に発展しないためにも早期対応が必須ですね!
被害児童生徒への対応



基本姿勢
本人のつらい気持ちを理解し、心理的ケアを施す
いかなる理由があっても、徹底して被害児童生徒の立場に立って対応します。教師は聞き役に徹して、被害児童生徒の辛い気持ちをまずは理解するように努めます。
- 受容
つらさや悔しさを十分に受け止める - 安心
具体的な支援内容を示し、安心感を与える - 自信
良い点を認め、励まし、自信を与える - 回復
人間関係(交友関係)の確立を目指す - 成長
本人自身の自己理解を深め、自立への支援を行う
※心理的ケアを十分に行う
教師の対応ポイント
- 最も信頼関係のある教職員(担任等)が対応し、最後まで絶対に守るという意思を被害児童生徒や保護者に伝える
- こどもの意向を汲みながら、安心して学校生活を送るための具体的なプラン(教室での見守りや登下校の方法、校内巡視指導等)を立てる。
重要な注意:一時的避難として、被害児童生徒を別室登校させる場合も考えられるが、別室登校等の指導は、加害児童生徒や観衆であった児童生徒に対して、内省を促すために必要な措置とするべきである - 心のケアや登下校、休み時間の見守り等、具体的な取組を教職員で分担する
- 当該児童生徒と保護者に対して、学校の取組の経過等を定期的に伝える
1. 話をうなずきながら聴く
- 子どもの訴えについて、顔を見ながら一言一言にうなずきながら聴くことにより、「君のいうことはしっかり聴いているよ」という暗黙のメッセージを伝える
2. 本人の訴えた言葉を復唱する
- 「あなたの話をこのようにしっかり聴いているよ」というメッセージになり、子どもに安心感を与える
- 自分の身に起きていることを客観的に考えるきっかけをつくることができる
3. 話が混乱しているときには、その内容を整理して伝える
- 教師が事実関係の掌握に誤りがないかどうか確かめる
- 被害者が自分の感情を整理し、具体的に考えられるようにする
4. わからないことを質問する
- 話していることがよくわからないからといって子どもの話を遮ってまで聴かない
- 「わからないことがあるから質問していい?」と尋ねてから聴く
- 不明確なところを簡潔に整理してから質問する
5. 本人が努力していることを支持する
- 「一生懸命耐えていたんだね」「いろいろ工夫したんだね」など、努力を認める言葉をかける
- 本人の努力した方向が違っていると思っても、否定的な言葉を言わない
- 生活ノートや個人面談、「いじめアンケート」等を定期的に行い、いじめの状況改善等、不安や悩みの解消に努める
- 自己肯定感が回復できるよう、授業、学級活動等での活躍の場や、友人との関係づくりを支援する
- スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等による教育相談等を活用し、被害児童生徒の継続的な心のケアに努める
- 定期的に家庭と連絡をとり、学校や家庭での様子について情報交換しながらきめ細かに経過観察を行う




事態が解決したからといって根本的な解決にならないんだね!
加害児童生徒への対応



基本姿勢
いじめは「人権侵害行為」である
「いじめは絶対に許されない行為である」との認識に立った毅然とした指導
その場指導に終わることなく、いじめが完全になくなるまで継続的に指導することが重要です。
- 確認
いじめの事実関係、背景、理由等を確認する- 何があったのか、どんな行動をとったのか
- いつ頃からか、どんな時に、どこで、誰と
- どんな気持ちで、何が気に入らなかったのか
- 傾聴
不満・不安等の訴えを十分に聴く- いじめを行った動機や気持ちをしっかりと聞く
- 学校での友人関係や家庭環境に変化があるのではないかなど、加害児童生徒の背景に細心の注意を払う
- 内省
いじめられた子どものつらさに気づかせる- いじめの非人間性やいじめが他の児童生徒の人権を侵す行為であり、いかなる理由があってもいじめは許されないことだと理を尽くして冷静に諭す
- 相手の心の痛みを理解させる
- 処遇
課題解決のための援助を行う- 今後、どのように行動する必要があるか、じっくりと考え、自分のとった言動を反省して謝罪することができるように導く
- 回復
体験活動等を通じて所属感を高める- 自己肯定感や規範意識が向上できるように指導していく
※心理的ケアを十分に行う
教師の対応のポイント
- 「事実はしっかり認めさせる」
- 「決して言い逃れはさせない」
- 「きちんと謝罪をさせる」
- 「それ以上罰しない」
- 「今まで以上に関わりをもつ」
1. 権威的な指導
- 学級等みんなの前でいじめた児童生徒を非難する
- 体罰を行う
- 子どもの人格を否定するような発言をする
- 命令口調で対応する
- 過去を引き合いに出す
- 追い詰めたり、問い詰めたりする
- 兄弟姉妹と比較する
2. 基本認識を誤った指導
- 何もかも「いじめ」と決めつける
- 教師の価値観や体験のみでいじめかどうかを判断する
刑法に触れる犯罪行為
- 「恐喝」や「暴行・傷害」等については、児童相談所や警察と連携する
- 被害児童生徒の安全が確保できない場合は、出席停止等の措置も視野に入れた指導を行う
- 加害児童生徒の気持ちを受け止め、スクールカウンセラー等による教育相談等を活用し、いじめを行う理由や欲求不満等を取り除くように継続的な指導を行う
- 生活ノートや個人面談、「いじめアンケート」等をとおして加害児童生徒の成長を確認し、継続的に観察していく
- 授業や学級活動等をとおして、自己肯定感や規範意識が向上できるように指導していく
- 校内において他の児童生徒と異なる場所で特別の指導計画を立てて指導することが有効であると判断される場合、教育委員会や保護者の十分な共通理解のもと、学校全体でその体制をつくる
補足:いじめを行う児童生徒は、相手の心の痛みを理解していない場合が多い。ロールプレイング(役割演技)等をとおして、相手の気持ちを考えさせる指導も有効である。




加害者側の気持ちも大切にし対応していくことが大切!
観衆・傍観者への対応



基本認識
観衆・傍観者も加害者と変わらない
いじめは、被害児童生徒と加害児童生徒だけの問題ではなく、周りの児童生徒の態度によって助長されたり、抑止されたりします。当事者だけでなく、周りにいる観衆、傍観者の存在が大きいことを児童生徒に理解させることが必要です。
はやし立てる児童生徒(観衆)への対応
- はやし立てることなどは、いじめの行為と同じであることを理解させる
- 被害者の気持ちになって考えさせ、いじめの加害者と同様の立場にあることに気づかせる
見て見ぬ振りをする児童生徒(傍観者)への対応
- いじめは他人事でないことを理解させる
- いじめを知らせる勇気を持たせる
- 傍観は、いじめの行為への加担と同じであることに気づかせる
重要なメッセージ
いじめの事実を告げることは、「チクリ」等というものではなく、辛い立場にいる人を救うことであり、人間として当たり前の行動で、人権と命を守る立派な行為であることを認識させる。
学級全体への指導
- 「いじめは許さない」という断固たる教師の姿勢を示す
- いじめについて、話し合いなどを通して、自分たちの問題として考えさせ、自己理解や仲間意識・連帯感が深まるように指導する
- 傍観等の意味を考え、人権意識の芽を育てる
- 見て見ぬふりをしないよう指導する
- 自らの意志によって、行動がとれるように指導する
- 道徳教材等を活用し、思いやりの心や正義感が育つように指導する
- 「命」を大切にする教育を推進し、豊かな心が育まれるように取り組む
- 児童生徒自らが、児童会・生徒会活動等をとおして、いじめの防止や解決に取り組めるように支援する
継続的な対応
- 学級活動や学校行事等をとおして、いじめの問題を自分の問題として考えさせ、自己理解や仲間意識・連帯感が深まるように指導する
- いじめが解決したと思われる場合でも、十分に注意を払い、継続して指導を行っていく
- 「いじめアンケート」を定期的に実施するなど、児童生徒の実態をきめ細かく把握する
- いじめを許さない集団づくりに取り組む
補足:望ましい人間関係を形成する力を養うための活動として、ピア・サポート活動(児童生徒の社会的スキルを段階的に育て、児童生徒同士が互いに支え合う関係をつくるためのプログラム)やソーシャルスキルトレーニング(様々な社会的技能をトレーニングにより育てる方法)等の活動も有効です。




いじめが怒る前に、仲間意識が深まる取り組みが必要ですね!
保護者への対応



被害児童生徒の保護者
- 事実を正確に伝え、解決に向けた具体的方針と対応策を提示する
- 家庭との連絡を密にし、一緒に解決してもらえるように共通理解する
- 不安なことや気にかかることがあれば、すぐに学校に連絡するようにお願いする
- 解決した後も定期的に学校の様子を報告する
注意点
- 被害児童生徒の心情の受容に努め、好ましくない声かけ(「やられたらやり返してこい」「負けるな、頑張れば強くなる」等)はしないようにお願いする
加害児童生徒の保護者
- 保護者の心情を理解する
- 保護者の心理…怒り、情けなさ、自責の念、今後の不安等
- 保護者も追い詰められると、防衛的あるいは攻撃的な態度をとることもある
- 子どものよさを認め、保護者の苦労も十分ねぎらいながら対応する
- 事実関係は正確に伝える
- 発言等に基づき、事実を正確に伝え、憶測で話はしない
- 問題とは直接関係のないことまで話を広げない
- 学校の指導方針を示し、具体的な助言をする
- 被害者への謝罪、子どもへの対応方法などを保護者の意向を踏まえ助言する
- 教師と保護者が共に子どもを育てるという姿勢を示す
- 子どもが自分の「非」に気づき、改められるよう指導・支援する
重要:被害児童生徒に対する謝罪の意思を、加害児童生徒の保護者にも理解してもらった上で、早期解決を図るため、謝罪の場を設けられるよう学校が適切に関与していくことが重要です。
PTAや保護者・地域との連携



保護者への連絡と協力要請
- いじめ問題について情報等を必要に応じて提供し、家庭での様子をしっかりと見てもらうようにお願いする
- いじめ問題の態様によっては、保護者会等をもち、学校と保護者の情報交換や意見交換の機会を設ける
- いじめ問題をなくすためには、周りの児童生徒や保護者が当事者意識をもって、関心を抱くことが不可欠であることを啓発する
地域との連携
学校運営協議会委員や学校評議員、関係機関等との連携を密にしながら、必要に応じて情報を共有する。
関係機関との連携



教育委員会との連携
基本的な流れ
- いじめを認知した際、いじめ対策委員会は所管の教育委員会に第一報を入れ、教育委員会の指導のもと、学校の体制を整え、迅速かつ的確に対応を行う
- また、必要に応じて児童相談所、警察等の関係機関と連携する
児童相談所・警察等との連携
いじめを認知した際、いじめ対策委員会は所管の教育委員会に第一報を入れ、教育委員会の指導のもと、学校の体制を整え、迅速かつ的確に対応を行う。また、必要に応じて児童相談所、警察等の関係機関と連携する。
連携が必要な場合
- 「恐喝」や「暴行・傷害」等の刑法に触れる犯罪行為
- 被害児童生徒の安全が確保できない場合




学校だけではなく保護者や外部との連携も必要であることを覚えておこう!
いじめ解消の要件



いじめ解消の2要件
文部科学省の基準に基づき、以下の2つを要件とします。
1. いじめ行為が止んでいること
・少なくとも3か月を目安とする
・被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為が止んでいる状態が継続していること
2. 被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと
・被害児童生徒本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する
継続的な指導
いじめが解決(少なくとも3ヶ月を目安)したと見られる場合でも、教職員は継続して十分な注意を払い見守っていくことが必要である。
重大事態への対応



重大事態とは
1号重大事態(生命心身財産重大事態)
- いじめにより生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
例:児童生徒が自殺を図った場合、身体に重大な傷害を負った場合等
2号重大事態(不登校重大事態)
- いじめにより相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき
「相当の期間」とは年間30日を目安!
ただし、一定期間、連続して欠席している場合は、この目安に関わらず、迅速に調査に着手
重要:児童生徒や保護者から、「いじめにより重大な被害が生じた」という申立てがあったときは、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。
重大事態発生時の対応
- 学校から設置者(教育委員会等)へ重大事態の発生報告
- 設置者から地方公共団体の長等へ報告(法に基づく義務)
- 調査に向けた準備
- 調査の主体は学校又は学校の設置者
- 調査の規模、設問内容等の調整等
- 被害、加害児童生徒及び保護者へ調査内容等の説明
- 調査実施
- 調査結果を被害、加害児童生徒へ説明
- 調査結果を設置者を通じて地方公共団体の長に報告(法に基づく義務)
- 必要に応じて再調査の実施等
調査組織について
- 公平性・中立性を確保し、客観的な事実認定を行うことができる体制を検討
- 弁護士、医師、学識経験者、心理・福祉の専門家等の第三者を含む
各都道府県では、重大事態への対応について詳細なフロー図や報告様式を提供していますので、お住まいの自治体のマニュアルをご参照ください。
ネットいじめ・SNS等での誹謗中傷への対応



ネット上のいじめとは
インターネット上のウェブサイトの掲示板等に、特定の子どもの悪口や誹謗中傷を書き込んだり、メールを送ったりするなどの方法により、いじめを行うものです。
第1段階:電話相談
- 警察相談専用電話:#9110
- 子どもの人権110番:0120-007-110
- 24時間子供SOSダイヤル(全国共通):0120-0-78310
第2段階:削除等の対応方法及び相談
- 書き込み内容を確認し、情報の保存を行う
- 掲示板等のアドレスを記録し、書き込み内容を保存(プリントアウト)する
- 携帯電話でしか表示できない場合は、画像をデジタルカメラ等で撮影して保存する
- 掲示板等の事業者又は管理者に削除依頼を行う
- 掲載を削除する必要のある書き込みについては、運営会社や管理者の連絡先を確認し、削除依頼のための手続きを行う
未然防止
学校での情報モラル指導だけでは限界があり、家庭での指導が不可欠であることから、保護者と密接に連携し、双方で指導等を行います。
各都道府県では、ネットいじめへの対応について詳細な相談窓口や対応方法を提供していますので、お住まいの自治体のマニュアルをご参照ください。
マニュアルに載っていない大切なこと



教員自身のメンタルケアも重要
いじめ対応は精神的に大きな負担がかかります。
- 一人で抱え込まない
- 同僚や管理職に相談する
- 必要なら専門機関のサポートを受ける
- 自分を責めすぎない
「完璧な対応」はありません。組織で、できる限りのことを尽くすことが大切です。
記録を必ず残す
いじめ対応では、詳細な記録が重要です。
- 日時、場所、関わった人物
- 発言内容(できるだけ正確に)
- 対応内容と経過
- 保護者とのやり取り
これらの記録は、その後の対応や、万が一の法的対応にも役立ちます。
一次対応の振り返り
初期対応が適切にできたかを振り返ることも重要です。一部の都道府県では、チェックリスト形式の振り返り表を提供していますので、活用してみましょう。




組織で、いじめ対応をしていくことが大切ですね!
まとめ



いじめ対応マニュアルは、学校現場でのいじめ対応の基本を示した重要な指針です。
重要ポイントのおさらい
- いじめは「被害者の苦痛」が基準
- 初動対応は迅速かつ組織的に(24時間以内)
- 被害者の安全確保が最優先
- 「事実確認」と「指導」を明確に区別
- 観衆・傍観者も加害者と変わらない
- 記録をしっかり残す
- 一人で抱え込まない
- いじめ解消の要件:行為が止んで3か月+苦痛を感じていない
しかし、マニュアルはあくまで「基本」です。一つ一つのケースは異なるため、柔軟な対応と、子どもたちに寄り添う姿勢が何より大切です。
いじめ対応は大変ですが、あなたの行動が子どもの人生を救うこともあります。
こどもたちを健やかな成長へと導くことは、私たち教職員の責務です。
参考情報
チェックリストについて
各都道府県では、より詳細な「児童生徒個別チェックシート」や「保護者用チェックシート」を提供しています。お住まいの自治体の教育委員会ホームページからダウンロードして御活用ください。
相談窓口について
全国共通
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310
各都道府県の相談窓口 各都道府県では、独自の相談窓口を設置しています。お住まいの自治体の教育委員会ホームページで最新の相談窓口情報をご確認ください。
マニュアルの入手方法
お住まいの都道府県・市町村教育委員会のホームページから、最新版のいじめ対応マニュアルをダウンロードできます。各自治体独自の取り組みやツールも掲載されていますので、ぜひご活用ください。
この記事が、日々奮闘する教員の皆さんの一助となれば幸いです。









