
教員って年休取れるの?




全ての年休を使いきれるか心配…
教員の年休(有給休暇)に関して、こんな悩みや不安を抱えている人はいませんか?
労働者の権利として誰でも使うことができる年休。
しかし、教員の仕事は非常に多忙なため、そもそも年休を取得できるのか、取得できても全部使い切れないのではないか…と心配になるのは当然のことです。
実際、年休を取得してリフレッシュしたくても、仕事が忙しくて、なかなか難しいのが現状だと思います。
しかし、年休を取るための絶好なタイミングやコツを知っていれば、計画的に取得することは可能です!
そこで、今回は〝知らないと損する″教員の年休事情について詳しく解説し、一日でも多く年休を消化できる教員が増えるようにしていきたいと思います。
- 教員の年休の仕組み
- 年休の取得率・取得方法
- 年休を上手に取るためのタイミングとコツ
- 教員の年休取得で注意すべきポイント
- 年休の過ごし方の例
教員の年休(有給休暇)の仕組みとは?



年休の目的
年休(年次有給休暇)は、労働者の心身の疲労を回復し、健康的に働き続けるために付与される制度
心身ともに健康的で、活力をもって働き続けるために制定された年休。
もちろん、教員も例外ではありません。
そして、年休を使うための理由も一切言う必要はないのです!
年休を使用しても、給料は通常通り支給されるので、積極的に活用していきましょう。




使わないと絶対損!
教員の年休付与のタイミングと日数
年休付与日:毎年1月1日
(自治体によって異なる場合あり)
年休の日数:1年間で20日分
教員は毎年1月1日に年休が付与され、1年間で20日分の年休を取得することができます。(ただし、自治体によって異なる場合があります)
ちなみに、教員の年休は1月1日~12月31日の周期で計算されます。
また、年休は基本的に1時間単位 or 1日単位(7時間45分)で取得することができます。
もし、1年間で20日分使い切れなくても、次の年に繰り越すこともできます。




繰り越しについては、後ほど
詳しく説明します!
初任者と2年目以降での違いは?
初任者は年休の日数や付与されるタイミングが異なるので、注意が必要です。
初任者 | 2年目以降 | |
日数(年間) | 15日 | 20日 |
付与される日 | 4月1日 | 1月1日 |
初任者の場合、年休の日数は15日分になります。
それは、初任者の勤務開始が4月1日~だからです。4月1日~12月31日までの間で年休が計算されるため、初任者は15日と少なくなっています。
また、付与されるタイミングも異なります。
当然のことながら1月1日に初任者はまだ勤務していないので、付与日は4月1日になります。
年が明けた1月1日に20日分の年休が新たに付与されます。
もちろん、1年目に使いきれなかった分は翌年に繰り越しされます。
年休の計算方法
ここでは具体的な年休の計算方法を紹介します。繰り越しの例も説明していきます。
また、年休は1日単位 or 1時間単位(7時間45分)で使えます。
【例】初任1年目に15日分の年休が与えられた状態
①平日に体調不良で1日年休を取った
→残りの年休は14日
②続けて、長期休暇中に4日分年休を取った
→残りの年休は10日
③後日、放課後に2時間年休を取った
→残りの年休は9日5時間45分
③12月31日までに、残りの年休を使いきれなかった
→9日5時間45分は翌年に持ち越し
④1月1日になり、新たに20日分の年休が付与
→持ち越しの9日5時間45分と合わせて、その年の年休は合計29日5時間45分になる
ただし、1年に繰り越しできる年休は最大20日までになります。
ということは、(繰り越し分の20日+新たに付与される20日)で、最大40日間の年休が取得可能ということです。




そんなに年休が使えるんだ!
ただし、1日も無駄なく余った年休を翌年に繰り越すためには、計画的な年休消化が必要です。
上記の例の場合、年休が29日間あっても、12月31日までに残り20日間になるまで使い切らなければ、その分の年休はなくなってしまいます。
油断していると、あっという間に消化しきれずに、年休が自然消滅してしまうのです!
そんなもったいないことが起こらないように、年休を積極的に活用していきましょう。




計画性が大事だね!
教員の年休の取得率は?現状と課題を解説



実際の取得率データ
連合総合生活開発研究所の「教職員の働き方と労働時間の実態に関する調査結果」によると、教員の年休取得率は67.4%でした。
約7割の教員が取得できているものの、残りの3割の人は年休を取得できていないということです。
経験年数が上がるにつれ、任せられる仕事量や責任も増え、年休を取りたくても取れないという現状があるように感じます。




年休をとるのに引け目を感じる人もいるよね
なぜ教員は年休を取りにくいのか?
教員は授業・行事・部活動・保護者対応など日々の業務が多岐にわたります。
また、特に担任をもっていると、「代わりがいない」「周囲に迷惑がかかる」と思ってしまい、よっぽどのことがない限り、年休を取りづらいという人も多いでしょう。
しかし、あなたがいなくても絶対どうにかなります!
「周りに迷惑がかかる」と心配になる気持ちもわかりますが、みんなで助け合って学校は運営されているのです。
だから、あまり気にせず「年休を取って、リフレッシュをして、また元気な姿で子供たちや周りの先生方に還元する」くらいの気持ちでいましょう。




「年休を取る=悪いこと」ではないよ!
教員が年休を取得する方法と申請の流れ



年休の申請方法と必要な手続き
年休申請用紙に記入して、管理職に提出するだけ!
難しい手続きは必要ありません。
ただ年休申請用紙に、取得時間を書いて、管理職に提出だけです。
理由を書く欄はありませんし、言う必要もありません。
もし、理由を聞かれても「ちょっと用事があって」と言えばいいだけです。
もし、当日の朝に学校に出勤できず、どうしても休みたい場合は、朝のうちに電話してその旨を伝えるだけでも大丈夫です。
どのくらい前に申請すべき?
1週間~3日前までに申請しよう!
年休を取ることが決まっている場合、1週間前~遅くても3日前には申請しておいたほうが良いです。
ただし、突発的な理由(体調不良や家庭の事情など)で年休を取りたい場合は、当日でも大丈夫です。
年休を取るときは、自分の担任するクラスの自習計画などを考えたり、時には他の先生に助けてもらったりする必要があるかもしれません。
周囲の先生方からの協力を得るためにも、早めに申請するに越したことはありません。
年休を上手に取るためのタイミングとコツ



教員には年休を取りやすいタイミングがいくつか存在します。
年休を取るには「業務に支障が出にくい時期」を見極めることがカギです。
年休を取りやすい具体的な時期は以下の通りです。
- 春休み
- 夏休み
- 冬休み
- 平日の放課後
- テスト期間中
年度末業務が終わり、新年度が始まるまでの期間です(主に3月最終週)。
4月から新年度準備で忙しくなるため、比較的時間の取りやすい3月の終わり頃が狙い目です。
年休をスムーズに取るために、引継ぎ計画はしっかりと行いましょう。
教員にとって、最も年休が取りやすいのが夏休み期間中。
夏季休暇5日間と年休をつなぎ合わせて、長い連休を取ることも可能です。
仕事を早めに終わらせて、半日休んでリフレッシュなどもしやすいでしょう。
年末年始は学校の閉庁日と重なるので、年休とつなげれば連休にすることも可能です。
年明けは職員会議が入る可能性があるため、年内に取得するほうが支障は出にくいでしょう。
平日の放課後に年休を取ることで、様々なメリットがあります。
- 病院や市役所などに行ける
- 仕事終わりにリフレッシュできる
- 仕事を早く終わらせるスキルが向上する
もちろん用事があるときは年休を取って構いませんが、用事がなくても年休を取ることは可能です。
平日の放課後に年休を取って、自分を休める時間を作ってあげると、仕事能力やパフォーマンスを上げられて、一石二鳥です。
私自身も月に1度は放課後に年休を取って、好きなことをする時間を取っていました。
中学校、高校教員の方はテスト期間中も年休が取りやすいタイミングです。
テスト期間中は授業や部活がないため、時間の融通が利き、放課後に休みを取りやすいです。
仕事を計画的に進めて、絶好なタイミングを上手に活用し、年休を消化していきましょう。




どんどん年休を使っていこう!
教員の年休取得で注意すべきポイント



突発的な取得はNG?トラブルを防ぐには
年休は本来、労働者が自由に使える権利ですが、突発的な取得が頻繁に続くと、職場の信頼関係や業務運営に支障をきたす可能性があります。
やむを得ない体調不良などの場合は、無理をせず年休を活用すべきです。
しかし、可能であれば事前に連絡し、必要に応じてフォロー体制を整えることが望ましいです。
また、突発的な取得が続くと「計画性がない」と見られてしまうこともあるため、計画的な取得を心がけ、職場との信頼関係を保つことが重要です。
年休取得がボーナスや人事評価に影響する?
年休の取得が直接的にボーナスや人事評価に悪影響を与えることはありません。
むしろ、年休を計画的に取りながら安定した勤務を続けることは、効率的な働き方と見なされ、評価される場合もあります。




安心して年休を取ろう!
職場に迷惑をかけない工夫とは?
年休取得にあたっては、事前の引き継ぎや情報共有が非常に重要です。
自分の担任しているクラスや授業の自習計画などもしっかりと立てておく必要があるでしょう。
また、他の先生方への感謝の気持ちを伝えることや、日頃からお互い様の関係を築いておくことで、年休取得に対する理解や協力を得やすくなります。
教員の年休、実際はどう過ごす?おすすめの過ごし方例



リフレッシュ系:旅行・趣味・睡眠
年休を活用して旅行に行ったり趣味に没頭する時間を作ってもいいでしょう。
また、仕事が忙しく、十分な睡眠がとれていない場合は、睡眠時間を確保するために年休を取ることもできます。
自分自身の心と体の健康のために、年休をうまく活用して、自分を労わる時間を意識して作りましょう。




自分の体が一番大事!
自己投資系:勉強・資格・読書
忙しい日々の中ではなかなかできない「自分磨き」に年休を活用するのもいいでしょう。
英語やプログラミングなどの語学・ICTスキルの習得、教員免許以外の資格取得(ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタントなど)にも挑戦可能です。
図書館やカフェでじっくり読書をする時間を取ることで、新しい発想や授業改善につながることもあります。




時には学校から離れて学ぶ時間も大切だね
メンタルケア系:カウンセリング・休養
心身の不調を感じたときには、無理せず「心のケア」に集中することが大切です。
「何もしない」ことを目的にした休養も立派な過ごし方です。SNSや仕事から距離を置き、静かな場所で過ごすだけでも、メンタルの回復に効果的です。




年休は何してもいい時間です!
筆者自身の年休の過ごし方
私が教員として勤めていた時の年休の過ごし方を紹介します。
【平日の放課後】
- 市役所や病院、銀行などの手続きに行く
- 岩盤浴や入浴施設に行ってリフレッシュ
- お気に入りのカフェで日記を書いたり読書をしたりする
- 友達とごはんに行く
- 普段と違う道で帰って、一人ドライブ
- 早めに帰宅して、家でごろごろする
【長期休暇中】
- 平日の空いている日にお買い物
- 旅行に行く
- 友達や恋人と遊ぶ
- 平日限定のメニューや割引のあるお店に行く
- 1日何もしないで、ゆっくり過ごす
私は週予定や月間予定表を確認し、この日休めそうだなと思ったら、「絶対その日は年休を取るぞ」と決めて、仕事を早くから調整していました。
「年休の日はどうやって過ごしそうかな」と考える時間も楽しく、日々の仕事のモチベーションにつながっていました。
年休をいつ取るか・どうやって過ごすかは個人の自由ですが、自分の心と体を回復させるためにも積極的に活用していきましょう!




年休は使える時に、使っちゃいましょう!
まとめ
教員にとって年休は、忙しい日々の中で心身を整えるための大切な手段です。
制度のしくみや取得の流れ、注意点をしっかりと理解したうえで、自分に合ったタイミングで積極的に活用することが、長く安定して教員を続けていくカギとなります。
年休を取ることに対しての遠慮や罪悪感を捨て、自分の健康と生活の質を守るために、年休を上手に使っていきましょう。
結果的に、教員自身のパフォーマンス向上や、児童生徒へのより良い指導にもつながるはずです。
それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。